ご報告

4年間のイギリス滞在を終え、
日本スポーツ振興センター・スポーツ開発事業推進部への就職が決まりました。
日本へ本帰国し、東京で10月から働き始めます。

今後は5年後の東京オリンピック、そしてその後の日本のスポーツ界の発展のために、
タレントの発掘・育成・強化システムを新しく創っていく仕事に関わっていきます。

4年間を振り返ると苦しかった時期もありましたが、
圧倒的に素晴らしい経験の方が多かった本当にあっという間の4年間でした。

目標だったUEFAコーチングライセンスの取得、
スポーツ科学の勉強、ジュニア・大学生年代の監督、
選手として再びイングランドのリーグでプレーできたこと、
U-11のリーグで無敗優勝したことなど、
お世話になった皆さんのおかげで本当に素晴らしい経験ができました。

以上挙げた経験ももちろんですが、
僕が一番学ばせてもらったことは「イギリス人の素晴らしい人間性」です。

いつも笑顔であいさつや会話をすること、
さりげない優しさや気遣い、
褒め言葉の多さやそれを使うタイミングの良さ、
そして何よりも「人生を楽しむこと」について、
イギリス人の姿を通して学ばせてもらいました。

今後もこのことは自分が生きる上で大切にしていきたいと思います。

この経験を活かして1日でも早く日本のスポーツ界に貢献できるように、
これからも成長していきたいと思っています。今後もよろしくお願いします。

窪田光祐

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AAF 8 サッカー選手のスポーツ心理学⑦(トレーニング・ゲーム中にできるメンタルドリル:選手同士のコーチングとコミュニケーション)

こんにちは。
今回は「選手同士のコーチングとコミュニケーション」についてです。

今回の「コミュニケーション」の意味ですが、
「試合中に選手同士で声を掛け合うこと」
というように定義します。

さてこのコミュニケーションについてですが、
日本だけでなくKris氏の故郷のベルギーや今回講習を受けたポーランドでも
あまり試合中に喋ら(れ)ない、コミュニケーションをとらない選手が
多くいるそうです。

今回はそのような状況を変えることができる
「コミュニケーションの大切さに気づかせるドリル」と
「選手間のコーチングの質の違いがわかるドリル」
についてKrisさんの講習からまとめていきます。

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コミュニケーションの大切さに気づくドリル

こちらはボールポゼッションの練習(4対2など)時に行うことができるドリルです。

段階として
①普通にトレーニング
②誰もしゃべってはいけないという制限をつける。
③1人だけしゃべること(コーチング)ができる制限をつける。
④2人だけしゃべること(コーチング)ができる制限をつける。
⑤トレーニングの難易度を上げる。(1タッチのみなど)

というものです。

この段階を通してコミュニケーションの大切さを理解することができます。

コーチングの質の違いに気づくことができるドリル

こちらは11v11などのゲーム形式の練習で行うことができます。

まずはコミュニケーションの大切さのドリルと同じように、1〜2人のみしゃべることができるようにします。その後選手間のコミュニケーション(コーチング)の質を変えていきます。

コーチングには大きく分けて3つのコーチングがあります。

①インストラクションコーチング
(例:マノンやサイドチェンジのようにプレーに対しての指示)

②モチベーション(ポジティブ)コーチング
(例:味方に対して「ナイスプレー」「ドンマイ」などポジティブな言葉をかける。)

③ネガティブコーチング
(例:味方に対して「へたくそ」などネガティブな言葉を使う。)

練習中は指名した選手のみ上記のうち
1つのコーチングができるという制限をつけて試合をします。

最後にコーチから全体へ「どのコーチングがプレーしやすかったか」
ということについて質問、フィードバックを得る。

というものです。

日本でもよくコーチから「もっと喋れ!」
というコーチングを選手にしているのを目にします。
でももしかしたら選手はただ単に「なにを喋ればいいかわからない。」
つまりはそのようなトレーニングをしていないだけなのかもしれません。

コーチとして「選手間のコミュニケーションやコーチング」
をトレーニングできる状況を作る必要がありそうですね。

次回はゲーム形式の練習でできる
「プレッシャーのマネージメント」
についてまとめていきます。

次回はゲーム形式の練習でできる「プレッシャーのマネージメント」についてまとめていきます。

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AAF 7 サッカー選手のスポーツ心理学⑥(練習に入る前にできるメンタルドリル:ゴールセッティングの仕方)

こんにちは。
今回はボールポゼッションなどのトレーニングでできる
「ゴールセッティング(目標設定)の仕方」
についてのKris氏の実践内容をまとめていきます。

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ゴールセッティングのメンタルドリル

やり方は簡単に説明すると、

トレーニング前に各選手にトレーニングの目標を決めさせ、
トレーニング後にできたかどうか反省する。

というものです。
ただ目標設定の仕方と反省の仕方にコツがあります。

ポジティブな目標設定を!

設定するゴールですが大きく分けて2つのゴールがあります。

①ポジティブゴール:ゴールが成功・達成することにフォーカスしている。
例:80%パスを成功させる。

②ネガティブゴール:ゴールが失敗しないことにフォーカスしている。
例:1回もボールを取られない。

Kris氏は
「選手はポジティブゴールを目標として設定させるようにした方が良い。」
ということをおっしゃっていました。

理由としては
ポジティブゴールを設定すると、
その目標の達成のために積極的にプレーするようになる。

逆にネガティブゴールを設定すると、
プレッシャーや不安を感じ、プレーが消極的になってしまう。

とのことです。

反省時に押さえる点

反省時には以下のことを選手に聞きます。

①目標は達成できたかどうか?

②なぜ達成できた/できなかったのか?

③このトレーニングを通してどのようなことが成長したか?

④次の目標をどうするか?

僕自身の経験として、
特に日本人はネガティブゴールを設定してしまう傾向があるように思います。
このことを気をつけて自身のトレーニングに活かしたいと思います!

次回は「選手が行うコーチング」にフォーカスし、
特に「コミュニケーションに関するドリル」をまとめます。

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AAF 6 サッカー選手のスポーツ心理学⑤(技術練習でできるメンタルドリル:自分にあった集中法の見つけ方)

こんにちは。
今回はパス&コントロールのトレーニングでできる
「自分にあった集中法の見つけ方」についてKris氏の講習から紹介します。

パス&コントロールのトレーニングは、以下のようなよく行われる設定でを行います。

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3つの集中法

このメンタルドリルは以下のような段階を踏んで行われます。

①セッションごとに1人10回パス&コントロールを行う。どれも完璧なプレーを目指して行う。

②1つ目の集中法:広い注目
パスをする時にパスをする相手の背後にいる選手2〜3人に注目する。

③2つ目の集中法:狭い注目
パスをする時にパスを出す相手のみに注目する。

④3つ目の集中法:感覚への注目
キックした時の感触やフィーリングに注目する。

⑤最後にコーチが「どの集中の仕方が一番自分にあっているか、うまくプレーできたか」質問する。

以上の方法で選手それぞれの好みの集中の仕方が分かります。

アメリカのロイド選手はきっとPKの時は今回でいう
「狭い注目」で集中力を高めていたのだと思います。

次回は「ゴールセッティング(目標設定)する時の留意点」についてまとめます。

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AAF 5 サッカー選手のスポーツ心理学④(ウォーミングアップでできるメンタルドリル:リラクゼーション&怒りを鎮める方法)

こんにちは。
まずはこちらの動画をご覧ください。(45秒あたりから)
この前の女子サッカーW杯、ドイツ対アメリカの動画です。

プレッシャーのかかる中で、
しっかりと精神統一をしてPKを決めたアメリカのロイド選手。

PKを蹴るまでの集中の仕方から、
しっかりと日々のトレーニングで、
精神統一の仕方をトレーニングしていたことが窺えます。

さて今回からはKris氏が実技として行った
「サッカーのトレーニングの中で行うことのできるメンタルドリル」
を紹介していこうと思います。

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今回はウォーミングアップのストレッチ後に行うことのできるドリルを紹介します。

リラクゼーションの仕方(呼吸法)

これはヨガなどでも行われているエクササイズで、「腹式呼吸の仕方」をトレーニングします。

やり方としては、

①片手を胸、もう片方の手をお腹に当てお腹で呼吸できていることを確かめることができるようにする。

②4秒吸う。

③4秒止める。

④4秒吐く。

⑤②〜④を数回繰り返す。

ということを行います。

怒りやイライラを鎮めるドリル

これも簡単な方法でトレーニングができます。イライラしてしまった時は、

①3つ違うものを見る。
(例:ボール、ゴール、相手、芝の状態、観客などなんでもよい)

②3つ違うものを聞く。
(例:風の音、サポータの声援、コーチの声、心臓の音など)

③3つ違うものを感じる。
(例:靴ひもの具合、気温、風など)

④今度は2つのことを見る/聞く/感じる。

⑤最後に1つずつ見る/聞く/感じる。

という方法で怒りを鎮めることができるそうです。

Kris氏がおっしゃっていたのは、
日常のトレーニングでこのようなトレーニングをすることを習慣づけてやることが大切である
ということです。

次回は「自分が好きな(自分に合った)集中の仕方」のドリルを紹介します。

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AAF 4 サッカー選手のスポーツ心理学③(課題の難易度設定)

こんにちは。 今回はKris氏の講演から「課題の難易度」についてまとめていきます。

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適切な難易度のトレーニングの効果

適切なトレーニングの効果を簡単にまとめると 適切な難易度の練習は選手の脳に刺激を与え、脳内で新しい神経のつながりができる と言えます

その結果
選手自身の問題解決能力が向上し、 さらにはよりクリエイティブな発想ができる
と言われています。

難易度を設定するときのコーチの考慮点

Kris氏が言うには、コーチとして大事なのは、
トレーニングの中であえて選手が心地よいと感じない状況を作ること です。

具体的には

①サッカーで起こりうるストレスのある状況

②選手がそれを当たり前と感じない状況

③解決策があり、選手がそれを自ら考え解決できるようなレベルの状況

④選手自身が「できる」とセルフイメージを持っている状況

が大切と言えます。

その他の脳に刺激を与える方法

その他にも

①他のスポーツを行わせる。

②いつも組まない他のプレーヤーとトレーニングする。

③他のコーチからの指導を受けさせる。

④統計データを用いて客観的に自分のプレーを分析する。

という方法があります。

サッカーはチームスポーツなので、 コーチとして個人だけでなくチームとしても難易度を設定する必要がありそうですね。

次回はKris氏が実践例として紹介した 「サッカーのトレーニングの中で行うことができるメンタルスキル&ドリル」 をまとめます。

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AAF 3 サッカー選手のスポーツ心理学②(選手の自信を高めるために)

こんにちは。

今回は前回に引き続きKris氏の講習会から
「選手の自信」についてまとめていきます。

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自信のある選手の特長とは

Kris氏によると自信のある選手は

-プレッシャーのかかった状況でも正しい判断ができる。
-成功のためにリスクを冒してプレーすることができる。
-失敗してもすぐに立ち直ることができる。
-コーチに依存せず、自律している。

というような特長があるということです。

選手の自信を高めるための心理学的アプローチ

そのような選手を育成するためにコーチができることとして、
大きく5つのアプローチがあります。

①ゴールセッティング
選手個人として実力や状況にあったゴール(目標)を一緒に考え設定する。

②ポジティブフィードバック
選手のプレーに対して成功や失敗に限らずポジティブに評価する。
また起こった現象だけでなく、それまでの選手の努力の過程に対して、
選手が立てた目標に対する取り組みに対しても、ポジティブに評価する。
(例:今回のプレーは今までの練習の成果だね。)

③フィードフォーワード
過去だけでなく選手の未来に対して助言をする。
(例:これができたから次はこういうプレーができるようになると
もっといい選手になるね!)

④質問
コーチからのプレーに対する質問を通して、
選手自身がそのプレーの原因と結果を考え、
新しい解決策を見つけることができる。

⑤成功体験の積み重ね
以上を繰り返すことで、コーチが選手に成功していることや、
着実に成長していることを伝える。

 

思うのは以上の心理学的アプローチをする前に、
選手との信頼関係の構築が重要だということ。
コーチとして人間力も上げていかなければいけないですね!

次回は「課題の難易度」について焦点を当てていきます

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AAF 2 サッカー選手のスポーツ心理学①(選手の自信と課題の難易度の関係性)

こんにちは。
今回の記事からAll About Footballカンファレンスの内容をまとめていきます。

まずは今回から数回にわたり
Kris Perquy氏(スポーツ心理学者、サッカーベルギー代表の活動に携わっている方)
の講演の題目の1つであった「選手の自信と課題の難易度」をまとめていきます。

ミハエル・チクセントミハイの理論

この2つの関係性のベースとなっているのは
ミハエル・チクセントミハイ (1988)が出した「フロー」に関する理論です。

フローとは

人間がそのときしていることに完全に浸り、
精力的に集中している感覚に特徴づけられ、
完全にのめり込んでいて、
その過程が活発さにおいて成功しているような活動における
精神的な状態
(wikipedia参照)

のことを指します。

この理論は「選手の自信」と「課題の難易度」が
どのように選手の心理状態に影響をするのかを説明した理論です。

簡単にまとめると以下のようになります。
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コーチとして出来ることとして、
選手がトレーニングやゲームでフロー状態になるために、

選手の自信をどう高めるか、
選手やチームにあった課題をどう設定するか

ということが重要になってきます。

次回は「選手の自信」について焦点を当て、
「選手の自信を高めるための心理学的アプローチ」についてまとめます。

参考文献:M. Csikszentmihalyi and I. S. Csikszentmihalyi (1988) Optimal experience Psychological studies of flow in consciousness. Cambridge university press.

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AAF 1 (All About Football カンファレンス概要)

こんにちは。

昨日は女子W杯日本対イングランドでしたね。
結果は2−1で日本が勝利し決勝進出を決めましたが、
どちらが勝ち上がってもおかしくない試合でした。

最後はLaura Bassett選手の不運なオウンゴールで結果が決まってしまいましたが、
僕の周りでは彼女を責めるコメントをする人は一人もおらず、
それよりも世界チャンピオン相手に
互角以上の戦いをした選手たちを讃える人がほとんどでした。

監督として負けてもサポーターが試合を楽しみ応援してくれる、
このような試合ができるチームを作れるようになりたいと思います。

さて話は変わりまして今回から先月参加してきた
All About Footballカンファレンス(AAF)についてまとめていこうと思います。

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今回はAAFについて簡単にまとめていきます。

AAFはポーランドスポーツ文化財団主催のカンファレンスで、
このカンファレンスを通してサッカーに関わるすべての人たちに、
最先端のトレーニングやスポーツ科学を紹介し、
さらに参加者同士のネットワークを広げることを目的としています。

場所はポーランドのヴロツワフ体育大学、
言語は主に英語(ポーランド語で行う場合は英訳付)で行われました。

(ヴロツワフ市街地。なかなかきれいでいいところでした。)
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カンファレンスの参加費は2日間(6月10、11日)昼食つきで
250ポーランドズロチ(約7500円)でした。

ウェブサイト:http://www.a-a-f.pl/en/

次回から興味深かった講演内容をまとめていきます。

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インタビュー記事

大学の先輩の西野さんのご厚意で、
僕のイングランドでの経験やそこまでに至った経緯、考え方などを
記事にしていただきました。

まだまだ僕自身足りないことばかりで勉強中の身なので、
このような記事にしてもらうのは本当に恐縮なのですが、
読んでいただいた方が何か感じ取ってくれると嬉しいです。

http://www.koichinishino.net/interview6.html

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